ドア横に立つ人生

九段下から地下鉄に乗る。満席。ドアの横が1つ空いてる。ラッキー。椅子の端の「あれ」にもたれる。今日も1日がんばった。

ふと思う、着席を捨てて普通に立つよりは楽なドア横に安住する、そんな人生でいいのか?ホテリングの立地論を応用して椅子取りに勝つぞ、という意気で青山から乗ってきたサラリーマンの波に乗って席の前を目指す。だが席前は満員。ドア前で浮浪。俺の人生。さっきまでいた所を睨む。しょうもない人生送ってんな。

渋谷でごっそり人が減る。顔を見れば渋谷で遊ぶのか乗り換えるのかだいたい分かる。ついに席、しかも至高の角が空く。挑戦すれば最後には報われるんだな。しかしここは我慢、隣のおばあちゃんに譲る。そういうものに私はなりたい。

クールに弄っていたスマホから顔を上げ、角席を見るとおばあちゃんみたいな傘を持ったOLだった。俺の人生。